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2022年9月24日、青森中央学院大学において、科研費採択プログラム「ひらめき☆ときめきサイエンス」を開催しました。
今回のプログラム「発掘人骨を鑑定してみよう!~骨から広がる古病理の世界~」は、人骨鑑定の体験を通して「人間とは何か」を探究する学問「人類学」の一端に触れ、基礎研究の重要性への気付きにつなげてもらうことを目的とするもので、県内外から中学生2名、高校生13名の計15名が参加、受講しました。
開講式では、まず、実施代表者である看護学部の藤澤珠織准教授から、自身の研究を支える科研費制度と、研究者を志した動機などが説明されました。
藤澤准教授は、遺跡から発掘された人骨に見られる古病理学的指標から、当時の人たちが置かれていた社会状況や環境を検証し解明する研究を、科研費の助成を受けて行っています。
はじめに、人体解剖生理学の講義を通じて、人骨の基本的知識の理解と共有をはかりました。受講生たちは緊張しながら藤澤准教授の説明に耳を傾け、大学で行われている講義の雰囲気を体験しました。
講義の知識を踏まえて、受講生は各自、好きな部位の骨格模型を選び、その特徴をスケッチしました。
その後、グループワーク形式で、「その骨はどの部位のものか」「なぜそのような形をしているのか」などを推理し、各グループの代表が発表しました。ここでは、講義で得た知識やグループでの議論をもとに、自分の目で観察した内容を言語化し、他者に伝える体験をしてもらうことを企図しています。
次に、基本的な分析手法の知識を学びました。パワーポイント上に現れる頭蓋骨の写真や、テーブルごとに配置された骨格模型の骨盤から「この骨の特徴は…女性、この角度は…男性…」など、クイズ形式で性別判定を体験しました。
そして、いよいよ本物の発掘人骨の観察演習です。
本プログラムでは、実際に遺跡から発掘された本物の人間の骨を扱わせていただきました。そのため、演習の前に藤澤准教授から、骨は慎重に丁寧に取り扱うこと、敬意や感謝の気持ちを持って臨むことについて注意喚起されました。
両手で慎重に骨を持ち、それぞれの形を見て、向きを考えながら、人体の形に並べていきます。骨の主がどのような人で、どのような生き方をし、そしてどのような死に方をしたのかなど、骨から分かることを推察し、根拠をもって鑑定しました。
各グループでそれぞれの鑑定結果に基づき議論し、グループごとに発表しました。受講生たちはそれまでの講義や演習で学んだ知識を駆使して、見事に性別判別、死亡年齢段階の推定、病痕の発見をし、藤澤准教授も驚いていました。
骨格模型や本物の人骨の観察と鑑定体験を通して、科研費により行われている基礎研究の楽しさと、研究の奥深さの一端を体感してもらうことができました。専門的内容に緊張しながらも、楽しんで研究に触れることができた様子でした。
今回の受講生には、一人一人に修了証書「未来博士号」が授与されました。
昨年度に続き、新型コロナウイルス感染症の影響下で実施することとなった今回も、事前に実施者全員で基本的な知識をしっかりと共有した上で、当日は入構時検温や健康チェックをはじめ、換気や消毒など考え得る限りの対策を講じて実施しました。
参加してくださった皆さま、ありがとうございました。