2020年9月5日、青森中央学院大学7号館において、今年度第2回目の「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」を開催しました。
今回のプログラム「入院患者さんの療養環境を整える-観察時の自分の視線を分析しよう-」には青森県内の高校生10人が参加しました。実施代表者の松島正起講師の科研費研究の成果をもとに、療養生活を支えるうえで基本となる療養環境の整備について、看護師の観察がもたらす効果や意味を、講義や実験を通して考えました。
松島講師の研究は、入院中の患者さんの苦痛や不快を認識できる看護師とそうではない看護師がいることに着目し、それらの要因を明らかにすることを目的のひとつとしています。さらに、教員として、患者さんの入院生活を支えることのできる、すなわち、患者さんの苦痛や不快に気づき療養環境を整えることのできる看護師を育成することを目標に、研究を進めています。
開講式と参加者全員の自己紹介の後、早速、講義が始まりました。
講義①「視覚情報の認知過程」
人の視覚情報の認知過程について、認知心理学や看護学などを踏まえて学び、基礎知識を共有しました。
○松島講師による講義
実験「ベッド周囲の観察(注視点撮影と観察記録)」
続いて、模擬病室でベッド周囲を実際に観察する実験が行われました。ここでは、アイマークレコーダで受講生一人一人の視線や注視点を撮影するとともに、何を見て、どのように考えたのか、観察記録を書いてもらいました。
○模擬病室の観察とアイマークレコーダでの注視点撮影
講義②「患者の療養環境を整える」
実験に続く講義では、病室・病床環境の基準と患者さんの生活環境を整える際の考え方として安全・安楽・自立について学びました。
実習①「注視点分析」
続いて、模擬病室での自分の視線・注視点を撮影した動画を、PCで繰り返し再生し、分析しました。他の参加者の注視点と比較しながら、自分がどのように視線を動かしてベッド周囲を観察していたのか特徴を見出しました。
○自分の注視点を撮影した動画を確認、分析
実習②「ベッド周囲の観察(講義②前後の違い)」
講義②「患者の療養環境を整える」での学びを踏まえ、ベッド周囲に置かれている物品をどのように置けば患者さんが生活しやすいのか考え、グループで意見交換しました。最後に、根拠を発表しながら、実際に物品の位置を移動させてベッド周囲を整えました。
○実験と分析を踏まえて、ベッド周囲の観察について改めて学習
○ベッド周りをどう改善すれば患者さんにとって快適か、グループで議論
○議論の結果発表と実演
参加した高校生たちは、アイマークレコーダを使った実験や、大学生と交流しながらディスカッションしたグループワークを楽しんで行っていました。本プログラムを通して、自分が見ているようで認知していないことがあったり、逆にまったく見えていなかったり、また、注視点が人によって違うことなどに驚きの声が上がっていました。相手の立場になって考え行動することの大切さや、質の良い安心・安全な看護を提供できるプロフェッショナルの仕事に感銘を受けた様子でした。
最後に、修了式で、松島講師から高校生一人一人に修了証書「未来博士号」が授与され、プログラムの全日程を終了しました。
なお、第1回目に続き今回も、新型コロナウイルス感染症および熱中症の防止策を講じ、細心の注意をはらいながら進めました。
昼食時には、マスクを外した参加者同士の会話を少なくし、飛沫感染を防ぐため、看護学部学生2名による研究報告プレゼンテーションを行いました。
○昼食時の学生によるプレゼンテーション