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9 9 年 度 授 業 計 画 書
----SYLLABUS----

          科 目 名 人間と哲学
          担当教員 鈴 木 克 成
項     目内     容
授業の主題と目標今年度の哲学講義は「戦争」に焦点を当てる。このテーマに多角的に取り組むことを通して、人間についての知見を深め、政治的なプロパガンダや、自分の内に潜む排他的な憎悪に惑わされないような、強靭な思考力を身につけることを目標とする。
前提科目 
知識活用へのアプローチ 
使用テキスト未定
参考書講義の中で示唆する
評価方法哲学することに「正解」はない。学生は毎回講義後に講義を通して学び、考え、疑問に思ったことを自由に記述したレポートを提出する。単なる知識ではなく、それをいかに消化構成したか、自分の頭でどれだけ考えたか、ユニークな視点、ロジックや説得力が存在するかで評価する。また発言等により特に貢献した学生には応分の対応をする。但し私語は厳禁。その他の課題・学期末試験はなし。他学年・学科の自主受講も歓迎する。
受講生へのメッセージ大戦後50年を経た今、世界は新たな世紀を迎えつつある。日本に住む者にとっては、戦火を直接的に体験することなく過ごしえた50年であったが、そのことは同時に、我々が戦争に対する想像力と思考力を鍛える場をもたなかったことをも意味する。「戦争」とは何か、人間はなぜ戦争をするのか、それは正当化しえるのか、コントロールはできるか。こうした問いに対して、真摯に取り組んでみたいという学生の聴講を希望する。



回 数授 業 内 容
第1回導入:今、なぜ「戦争」を問うのか ※以下テーマ順不動・予定
戦後? 敗戦後(加藤)? 戦前(大澤)? 「歴史の終焉」、近代原理
第2回総論:冷戦後の世界(経済・民族・宗教)状況と、それを巡る様々な議論
globalismとnationalism、ドイツ歴史家論争、戦争論(小林)
第3回(なぜ)人は人を殺してはいけないのか?(永井、宮台)
あらためて考える倫理、『善悪の彼岸』と正当化との峻別の必要
第4回暴力の本質を考える1−−構造的悪−−
民主主義の根拠としての暴力、防衛、テロル、力の行使の歴史
第5回何のために戦うのか
「人間」の戦争、「敵」とは誰のことか、憎悪と悪意、自我の不安
第6回暴力の本質を考える2−−源泉としての死、破壊と蕩尽−−
sportと高揚、夜(西谷)、エロスとタナトス(フロイト、バタイユ)
第7回よい戦争(正義、防衛)・悪い戦争(侵略)?
ベトナムと湾岸、東京裁判とエノラ・ゲイ展
第8回個の突出とニヒリズム(神の死と共同体の解体)の状況で
個の虚構と公の虚構、誇りと「何かのために死ぬ」という議論
第9回(近代国民)国家−−排中律的思考−−を考え直す
「私である前に」?、「私」の中の国家、青森と「津軽と南部」
第10回ファシズムの本質と民主主義
ワイマール体制、自由からの逃走と同調圧力(排除と密告)
第11回旧日本軍(帝国陸軍)の体質
山本の体験、失敗の本質、ガダルカナルとインパール、捕虜の意味
第12回共栄(一視同仁)思想を問い直す
人はみんな同じか? ジェノサイドとアーロン収容所と皇民化政策
第13回再び、よい戦争・悪い戦争? 言説が果たす機能と奉仕への隠された動機
結局誰が得するか? アウシュヴィッツは特権化されるべきか?
第14回未定
第15回結び:なぜそう考えるかを考える−−戦争を巡る言説の検討−−
暗部の正当化が悲惨を生む、人間の思考の性質への反省